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DOJIN選書 37
なぜヒトは旅をするのか
人類だけにそなわった冒険心 - 著者:
- 榎本 知郎 著
- 内容紹介
- 目次
- 追加情報
ヒトはなぜ旅ができるのか.渡りをする鳥や所属集団を替える霊長類は存在する.しかしそれは,各個体の生活圏での行動である.ヒトは,自らが所属する集団の生活圏を離れ,見ず知らずの集団の生活圏に入り,ふたたび自らの生活圏に戻る「旅」ができる.このような行動はなぜ可能になったのか.本書では,旅が可能になる,見知らぬ他者でも中立的で対等にコミュニケーションできる性質を「許容」と呼び,これがどのように進化したか,ヒトと近縁のサル類との比較から浮き彫りにする.
まえがき
第1章 旅する人たち
一 民族大移動(フローレス島 グレート・ジャーニー)
二 お輿入れ(古代エジプトのお輿入れ 政略結婚)
三 仏教僧の旅(インドをめざした法顕 フンザからタキシラへ ひとりっきりの帰路 国禁を破った玄奘のインド行 ウズベキスタンをめぐってインドへ 玄奘、中国へ帰る)
四 好奇心にかられた人の旅(イブン・バットゥータの大旅行 江戸時代の旅 マルコ・ポーロは中国へ行ったか)
五 旅のかたち
第2章 なぜ動物は移動するのか
一 移動の目的(越冬のための渡り ライフサイクルで生活の場を変える回遊 生活圏を確保するナワバリ 集団移動――ジャーニー)
二 属する集団を替えるサル類の移籍(群れを乗っ取るハヌマンラングールの移籍 序列が明確なニホンザルの群れ 雌が移籍するチンパンジー 群れる理由の違い)
三 移動様式
第3章 旅とはなにか
一 誤解された進化論(原始人=野蛮人? 社会進化思想 ヒトは同じ能力をもつ)
コラム① 遺伝子のバラツキが小さいヒト――ボトルネック効果とファウンダー効果
二 文明以前、ヒトはどんな社会をつくったか(小笠原諸島へも移動したヒト 縄文時代の集落 黒曜石の移動からわかる人びとの交流 西アジアから中国へもたらされた彩色土器 アメリカ先住民への迫害)
三 旅人への便宜供与(「旅」の辞書的な意味 旅が可能になる条件 ルソーが受けた便宜 コンゴの旅事情 エスキモーの“妻貸し” 便宜供与の損得勘定 旅先でのトラブルは例外的)
コラム② 適応度と包括適応度
四 なぜヒトは旅ができるのか(“うちの集団” “よその集団” 金銭に勝る情報の価値 旅とはなにか)
第4章 “よそもの”との対等な関係
一 不平等の誕生(人間の平等と不平等 ルソーが考えた“不平等”)
二 分配と平等主義(アカ・ピグミーの平等主義 平等主義の進化 トゥルカナ族の互酬性 互酬的利他行動 平等原則 旅人との関係は対等)
第5章 許容が生まれるコミュニケーション
一 メタコミュニケーションのかたち(「あいさつ」 「ほほえみ」 「おじぎ」)
二 コミュニケーションはなぜ可能か(コミュニケーション・システム コミュニケーション・ネットワーク コミュニケーションのチャンネル 人と人との関係性)
コラム③ シンボルによる情報伝達
三 許容関係を支える言語とトレード(許容関係をなかだちする信号 言語の役割 トレードの基盤)
第6章 許容はいかに進化したか
一 雌に選ばれる雄(派手な雄 例外的な雌のセックスアピール 地味な雌 強い雄を選ぶ雌の戦略)
コラム④ 自然淘汰と性淘汰
二 ヒトではなぜ女性が着飾るのか(ペア結合仮説 生殖管淘汰 家族であることのメリット 愛の役割 セックスアピールの進化)
三 許容の誕生(“われわれ”を越えたコミュニケーション 分節構造はいつ生まれたか 許容を生んだ要因)
四 許容がもたらす利得(類人猿にとっての言語 許容の進化)
第7章 ヒトはなぜ旅をするのか
一 許容はヒトに固有の特徴(許容が旅を可能にした 許容はヒトにとって普遍的 ダライ・ラマの許容 遭難者を助けるこころ)
二 許容が拓く共存への道(文明がもたらした適応度の低下 アステカ王国の滅亡 パレスチナの共存 十字軍の侵攻 イスラエルが築いた壁 敵と味方の危うさ)
三 ヒト 旅をするサル(旅への原動力 なぜヒトは旅が好きなのか)
参考文献
あとがき
- 出版社:
- 化学同人
- 判型:
- B6
- ページ数:
- 208ページ
- 本体価格:
- 1500円
- ISBN:
- 9784759813371
- 発売日:
- 2011年 01月 30日
